こんにちは、神奈川県横浜市でレニックステニススクールとじぶんビジョンを運営している高田です。
僕は、これまで未就学児から高校生までジュニアテニスの指導をしてきました。
そのなかで練習方法や用具など様々な試行錯誤を繰り返してきました。
そのなかでも「テニスボール」については、特に考える必要があると思っています。
近年は、ITF(国際テニス連盟)のPLAY AND STAY(PLAY+STAY)の考え方が、キッズテニス・ジュニアテニスの指導の基本となり、そのプログラムに準じてボールをスポンジボール・レッドボール・オレンジボール・グリーンボール・イエローボール(大人用)に分けて、段階的に使用することが増えてきました。
今回は、ジュニアテニスにおける様々なテニスボールの段階的利用の目的、それぞれのボールの特徴、実際の現場での効果について考察したいと思います。
【PLAY AND STAY】ジュニアテニスでレッドボールやグリーンボールを使う目的とは?
まず、ITF(国際テニス連盟)のPLAY AND STAY(PLAY+STAY)の考え方から、テニスボールをプレイヤーの成長に合わせて段階的に変える意義について考えてみたいと思います。
PLAY AND STAYは、ラケットをもったその日から、多くのプレーヤーが簡単なゲームまで楽しめるように考えられたプログラムです。
レベルやキッズ・ジュニアの年齢にあわせてコートや用具(ラケット・ボール)の基準を定めることで、スムーズにレベルアップでき、テニスを楽しく継続できるように考えられています。
つまり、「テニスを始めやすく辞めにくいものにしよう!」というのが、PLAY AND STAYの考え方なのです。
ボールを段階的に大人用のイエローボールに近づけていくのもそのためです。
最初から硬く跳ねるボールを使うと幼稚園児や小学校低学年の初心者の子供には扱いが難しく、テニスが上達するどころかテニスをやりたいとも思わなくなってしまいます。
それを避けるためにも大きさや空気圧を変えた難易度の違うボールは役立つのです。
レッドボール・オレンジボール・グリーンボールそれぞれの特徴とは?
では、ジュニア用のそれぞれのボールはどのような特徴を持ち、どのような子供に勧められているのでしょうか?
レッドボール
特徴は、他のボールよりも直径が大きく(7〜8cm)、バウンドが低いことです。
一般のボールと比べてスピードが75%程度落ちると言われています。
レッドボールは、〜8歳までの初心者キッズ向けのボールです。
オレンジボール
特徴は、グリーンボールや一般のボールよりもバウンドは低いものの、大きさは一般的なボールに近いことです。
一般のボールと比べてスピードが50%程度落ちると言われています。
オレンジボールは、8〜9歳の初心者もしくは多少の経験があるキッズ・ジュニア向けのボールです。
グリーンボール
特徴は、特殊球のなかで最も一般のボールに近いことです。
一般のボールと比べてスピードが25%程度落ちると言われています。多くのジュニア大会で使用されています。
グリーンボールは、〜10歳のテニス経験のあるキッズ・ジュニア向けのボールです。
実際にジュニアテニスのレッスンを行っていて感じるボールの使い分けについて
僕は、現在すべてのレッスンをイエローボールで行っています。
幼稚園児から高校生まですべてのレッスンです。
決して、ボールの使い分けにネガティブな印象を持っているわけではありません。
ジュニア選手の能力の向上に対しても、ボールが高く弾まないことでグリップの握り方が厚くなりすぎるのを防いだり、ボールが飛ばないことで強いスイングでボールをしばけるようになったり、ボールのスピードが落ちることでラリーが続き戦術性が身についたりと多くのメリットがあることは重々承知しています。
ただ、メリット・デメリットを考えたうえで、ボールの使い分けに頼らずに指導を行うという結論に至りました。
コーチが選手に対してきちんと技術・戦術の指導や動機付けのための声かけをすることができれば、ボールを使い分けなくても正しいスキルを身につけたり、テニスの練習を継続したりすることができます。
言い換えるならば、ボールの使い分けはコーチの能力開発のきっかけを奪うということです。
コーチのテニス指導のスキルやコミュニケーションスキルを高めることができれば、それだけでPLAY AND STAYの目的を果たすことができるのです。
ボールの段階的利用には大きなメリットがあるのは確かです。
ただ、それをどう使うかはもうすこし検討の余地があると思うのです。
まとめ
僕たちのテニススクールに初めて来るジュニアは「イエローボールだ!」と驚く子どもや親御さんが多いです。
他のテニススクールで、レッドボールやオレンジボールを使っていた子がほとんどだからです。
それほどまでに浸透しているPLAY AND STAYの考え方は素晴らしいと思いますし、本当にそれのおかげでテニスを楽しく続けられる子どもも増えていると思います。
だから、良いところをきちんと理解しつつその裏側にある悪いところも見て、今どのボールで練習すべきなのかは考えた方が良いでしょう。
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